ツバメの読書ブログ

読書記録や旅行記を中心に。

罪と罰(作:ドストエフスキー)

最近暑い!暑すぎる!久々に故郷の北海道に滞在中なのに毎日35度...
北国のみんなは猛暑に慣れていないから、大通公園の噴水の周りには少しでも涼感をと群がる人々で溢れている笑


さて、暑い夏だからこそ、本来北国同士、海を越えればすぐそこ、ロシアの文学に挑戦した!
今までにも何冊かは手に取ってみたものの、フランス文学に追いかけられすぎてゆっくり読む時間が無かったので、「今こそチャンス!」と思って読んでみた。
選んだのはドストエフスキーの「罪と罰」。
昔要約版は読んだことがあったのだが、フルバーションは初挑戦。
読もうと思ったのにはきっかけがある。
ドストエフスキー狂いと言っても過言ではない程ドストエフスキーを愛し熟読している叔父から「いや、絶対好きだって!読まなきゃ損だよ!俺とお前は絶対感性似てるって!!」とかねてからごり押しされており(きっと誰も読んでくれなかったから、誰かに読んでほしかったんだろうな...笑)ついに念願が叶った。


さて、内容だが長い、長い...長い!!笑
簡単にまとめると、ペテルブルクに住む、法学部の若者(金欠で休学中)ロジオン(ロージャ)・ラスコーリニコフが、自分が書いた論文、自分の理論が正しいかを知るため殺人を犯す。
完全犯罪を成し遂げ、警察もなかなか犯人を割り出せない。
そんな中、母と妹がペテルブルクにやってくる。様々な人間関係(はしょります笑)、頭脳派判事の登場、別の男の自首などを通しロージャが最後に取る行動とは...
と、かな~りざっくりだとこんな感じで笑
それが、文庫版(新潮文庫)で1166ページを掛けて展開される。


読んでる途中で、慣れないロシア語の名前に、「あれ...これ誰だっけ??」としばしば頭を搔きむしることに笑
というのも、名前が長い上に男性形、女性形で同じ語源でも形が変わったり、愛称が有ったりと、同じ人物でも色々な名前が出て来て、しかも登場人物がものすごく多い。


だんだんわかりにくくなってきた時、時々相関図を書いてみて整理したりする。
今回はこんなことになった笑↓
(※誤記で、主人公はラスコーリニコ[ヲ]ではなく、ラスコーリニコフが正しいです)

ただ、やはり名作であることは間違いないと実感した。
「正しさ」を誰かに植え付けられた思想からではなくて、自分の内部で如何に考えて処理するのかを問うことの大切さをガツンと考えさせられた。


※長すぎて読むのが辛い!という方は、こんな番組を発見したのでリンクを貼っておきます。

あらすじで楽しむ世界名作劇場 「罪と罰」 part 1

地下鉄のザジ(Zazie dans le métro) / 映画

レンタルショップでたまたま目に入って借りてみた。
最初手に取った時はいつ頃制作された映画か見当がつかず、「最近の映画かな~」などと思って観てみたところ....
おぉ、予想以上に...画面が古いぞ、と笑
それもそのはず、1960年制作の映画でした!
ただ、一旦見始めると、シュールでいたずらに溢れた内容にたちまち引き込まれて、あっという間にエンドロールになっていた。


ストーリーはザジという名前の9歳半の少女が、地下鉄に乗るのを楽しみにパリにやってきたのに、折り悪く地下鉄がストライキ中。
悲しみに打ちひしがれるも、直ぐに忘れて悪戯と冒険三昧!
大人たちもぶっ飛んでいて、物の壊れ方が「貫太郎一家」的な笑


すっきりした気持ちになりたい時におすすめです!
爽快感は間違いない笑



ちなみに、フランスは本当にストライキが多い。
以前滞在中に消防局の車庫に大きな横断幕が掛かっていて、『ストライキ中につき、火事を起こすな!』と書いてあった時は失笑した記憶が(;'∀')



映画『地下鉄のザジ』予告

思い出のマーニー (作:ジョーン・G・ロビンソン)

原文タイトル『When Marnie was there』。
数年前にジブリの映画で見たが、観ている最中に最愛のハムスターが亡くなってしまうショッキングな出来事があったせいで、ろくに内容を思い出せなかった。
泣き叫び過ぎて画面を見るどころじゃなかった。。。


たまたま書店で目に留まって、悲しい思い出を思い出してしまうから「絶対読むものか!」と思ったものの、たまたまタイミングが悪かっただけで物語には全く悪い所はなく、むしろ偏見で遠ざけるのは勿体ないのではないかと思い直して入手した。


物語の舞台はイギリスだ。
私も何度か行ったことのあるイギリス。冗談抜きで食事はマズイが、お菓子は天にも昇るほど美味しい。
幼い頃に家族に死に別れ、養女としてある家庭で育ったアンナという少女が主人公。
少女の苦しい心境などが時に鬱々と描かれている部分も有るが、そんな中でもお茶のシーンが出て来る度にイギリスの家庭的なふんわりと甘い焼きたてのスコーンの匂いを思い出すようなほっとした気持ちになれる。


ロンドンで暮らしていたアンナだが、学校にも馴染めず、喘息で体調を崩した事も有り、田舎(ノーフォーク)にすむ優しい老夫婦と一夏過ごすことになる。
最初は孤独を満喫していたアンナだったが、湿地に建つ館に住むマーニーという少女と出会ったことをきっかけに成長していく様子が描かれている。


ちなみに、スタジオジブリの映画では舞台が北海道になっている。
私のふるさと。そして、驚くほど自然以外に何もない笑(なりに故郷愛は有るが)


本書で一番好きだった文章は下記だ。
人一倍人が今何を考えているのか気にかけてしまうアンナが心の中で呟いている言葉。


『ああ、もし、ときどきなんの理由もなく、あるいはたいした理由もなく、好きなだけ自分が泣いても黙って見ていてくれる人がいたら、どんなにいいだろう。でも、この世には、そんなことをさせてはならないという暗黙の了解があるらしい。』


予想以上に児童文学のジャンルに収まりきらない、ミステリアスで心温まるストーリーだった。最後は感動で鳥肌!
☆写真の黒い風車が物語の中に出て来る風車小屋のモデルだそうだ。
 映画の主題歌も癒される素敵な曲だと思うのでリンクを貼っておきます。

 


【来日公演決定】Fine On The Outside / プリシラ・アーン スタジオジブリ映画『思い出のマーニー』主題歌