ツバメの読書ブログ

読書記録や旅行記を中心に。

思い出のマーニー (作:ジョーン・G・ロビンソン)

原文タイトル『When Marnie was there』。
数年前にジブリの映画で見たが、観ている最中に最愛のハムスターが亡くなってしまうショッキングな出来事があったせいで、ろくに内容を思い出せなかった。
泣き叫び過ぎて画面を見るどころじゃなかった。。。


たまたま書店で目に留まって、悲しい思い出を思い出してしまうから「絶対読むものか!」と思ったものの、たまたまタイミングが悪かっただけで物語には全く悪い所はなく、むしろ偏見で遠ざけるのは勿体ないのではないかと思い直して入手した。


物語の舞台はイギリスだ。
私も何度か行ったことのあるイギリス。冗談抜きで食事はマズイが、お菓子は天にも昇るほど美味しい。
幼い頃に家族に死に別れ、養女としてある家庭で育ったアンナという少女が主人公。
少女の苦しい心境などが時に鬱々と描かれている部分も有るが、そんな中でもお茶のシーンが出て来る度にイギリスの家庭的なふんわりと甘い焼きたてのスコーンの匂いを思い出すようなほっとした気持ちになれる。


ロンドンで暮らしていたアンナだが、学校にも馴染めず、喘息で体調を崩した事も有り、田舎(ノーフォーク)にすむ優しい老夫婦と一夏過ごすことになる。
最初は孤独を満喫していたアンナだったが、湿地に建つ館に住むマーニーという少女と出会ったことをきっかけに成長していく様子が描かれている。


ちなみに、スタジオジブリの映画では舞台が北海道になっている。
私のふるさと。そして、驚くほど自然以外に何もない笑(なりに故郷愛は有るが)


本書で一番好きだった文章は下記だ。
人一倍人が今何を考えているのか気にかけてしまうアンナが心の中で呟いている言葉。


『ああ、もし、ときどきなんの理由もなく、あるいはたいした理由もなく、好きなだけ自分が泣いても黙って見ていてくれる人がいたら、どんなにいいだろう。でも、この世には、そんなことをさせてはならないという暗黙の了解があるらしい。』


予想以上に児童文学のジャンルに収まりきらない、ミステリアスで心温まるストーリーだった。最後は感動で鳥肌!
☆写真の黒い風車が物語の中に出て来る風車小屋のモデルだそうだ。
 映画の主題歌も癒される素敵な曲だと思うのでリンクを貼っておきます。

 


【来日公演決定】Fine On The Outside / プリシラ・アーン スタジオジブリ映画『思い出のマーニー』主題歌